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「バクセル」の薬事承認取得に向けた開発活動を推進

 テラ<2191>は、 東京大学医科学研究所発のバイオベンチャー。がんの最先端治療法である樹状細胞ワクチン「バクセル®」(免疫細胞療法)等、細胞医療に関する技術ノウハウの提供及び研究開発を行っている。子会社の設立等により再生医療・細胞医療における周辺領域の事業化にも積極的に取り組んでいる。

 2014年12月期の連結業績は、売上高が2013年12月期比21.2%増の1,865百万円、営業損失が293百万円(2013年12月期は23百万円の黒字)とほぼ会社計画並みの水準で着地した。樹状細胞ワクチン「バクセル®」の薬事承認取得に向けた開発活動を推進するなかで、研究開発費や広告宣伝費が増加したほか、連結子会社の事業立ち上げ負担などが、収益圧迫要因となった。

 2015年12月期も売上高は2014年12月期比19.1%増と2ケタ増収となるものの、「バクセル®」の治験開始に向けた研究開発費や、子会社の事業立ち上げ費用増により、営業損失は365百万円となる見通しだ。焦点となっている「バクセル®」の治験届は膵臓がんを適用領域として2015年内に提出され、年内にも治験を開始する見込みとなっている。業績面では治験費用が2016年度以降、本格的に計上されることになるが、現在、複数の企業とライセンス交渉を行っており、この契約時期によって収益状況も変わってくることが予想される。

 「バクセル®」は条件付(早期)承認制度活用を想定すると、治験が順調に進めば2019年にも薬事承認が下りるものと予想される。同社は 中期計画として2020年度に売上高15,000百万円を目標として掲げており、このうち半分を薬事承認された「バクセル®」で、残りを細胞医療事業や周辺事業で伸ばしていく計画だ。特に、子会社で展開するゲノム診断支援事業や少額短期保険事業の開始によって、顧客層ががん罹患者から健常人まで拡大することになり、グループ間でのシナジー効果も今後、収益成長を加速させる要因になると考えられる。

Check Point

●がん抗原の独占実施権、世界トップクラスの臨床実績を有する
●膵臓がんで薬事承認がとれれば、その他のがん種へ適用領域を拡大
●がん治療から、健常人向けのがん予防・再発予防まで拡大する

会社概要

「樹状細胞ワクチン療法」を中心に再生・細胞医療の研究開発企業

(1)事業概要

 同社はがんワクチンの1つである樹状細胞ワクチン「バクセル®」を中心に、医療機関に対する技術・運用ノウハウの提供、及び再生・細胞医療に関する研究開発を行う企業である。また、事業領域を拡大し6つの連結子会社を有している。2014年12月期より、樹状細胞ワクチン「バクセル®」の薬事承認取得に向けた開発活動を本格化したことに伴い、事業セグメントを表の通り、細胞医療事業、医薬品事業、医療支援事業の3つに区分変更した。

○細胞医療事業

 細胞医療事業とは、同社が開発する樹状細胞ワクチン「バクセル®」を中心とした独自のがん治療技術・ノウハウの提供、細胞培養施設の貸与、特許実施権の許諾及び集患支援サービスとなる。

 売上高の大半は、契約した医療機関から樹状細胞ワクチン「バクセル®」の症例数に応じて得られる技術料や設備貸与料、特許使用料などからなる。医療機関との契約形態には、「基盤提携医療機関」「提携医療機関」「連携医療機関」の3タイプがある。「基盤提携医療機関」とは、同社が細胞培養施設を当該医療機関に設置・貸与し、技術・ノウハウの提供や特許使用の許諾などを行う医療機関になる。「提携医療機関」とは、細胞培養施設を自身で既に整備している医療機関のことで、主に大学病院など大型の医療機関が対象となる。施設の貸与料がかからないため、1症例当たりの売上高は基盤提携医療機関より少なくなる。「連携医療機関」とは、細胞培養施設を持たず、基盤提携医療機関及び提携医療機関と連携して治療を行う医療機関となる。同社が当該医療機関に対してマーケティング、権利使用許諾などを行い、その対価をコンサルティング料として徴収する。樹状細胞の培養を基盤提携医療機関または提携医療機関で行うため、1症例当たりの当該医療機関から得られる売上は、培養を実施した基盤提携医療機関または提携医療機関を通じて徴収することになる。

 こうした契約医療機関の数はグラフのとおりで、2014年12月末時点で37ヶ所となっており、北海道から沖縄に至るまでほぼ全エリアにおいて契約医療機関が拡大してきている。また、症例数としては累計で約8,900症例と樹状細胞ワクチン療法では世界でトップクラスの症例実績となっている。

○医療支援事業

 医療支援事業は、子会社であるバイオメディカ・ソリューション(株)で展開する細胞加工施設の運営受託・保守管理サービス、並びに消耗品や関連装置の販売や、2013年5月設立のタイタン(株)で展開するイメージングCRO事業に加えて、2014年以降では2月に設立した(株)オールジーン(旧ジェノサイファー)のゲノム診断支援事業、8月にM&Aで子会社化したテラ少額短期保険(株)(旧ミニンシュラー)の保険事業が含まれる。

 オールジーンでは、医療機関から委託を受けた患者の遺伝子情報を解析し、患者個人に適した治療の選択のための情報を医療機関に提供するサービスを手掛けていく予定で、がんや遺伝性疾患を中心とした患者に対する個別化医療の実現を目指している。

○医薬品事業

 医薬品事業は、樹状細胞ワクチン「バクセル®」の薬事承認取得に向け、2014年1月に新たに設立した子会社のテラファーマ(株)が中心となって行う事業となる。

最先端のがん治療である免疫細胞療法

(2)樹状細胞ワクチン療法とは

 がんの治療法には一般的に、「外科療法(手術)」「化学療法(抗がん剤治療)」「放射線療法」と3つの標準的な治療法があり、それぞれ単独で行うか、症状に応じて複数の治療法を組み合わせながら治療を行っている。同社が提供する樹状細胞ワクチン「バクセル®」は第4のがん治療法と言われる免疫療法のひとつであり、これらの標準的な治療と組み合わせることで効果を発揮する、最先端のがん治療法となる。

 免疫細胞療法とは患者自身の体から血液(免疫細胞)を一旦採取して、それを培養、活性化して体に戻し、取り除きたい悪性細胞(がん細胞)を退治していく方法である。「樹状細胞」はこの免疫細胞のことを言い、体内で異物を捕食することによりその異物の特徴(抗原)を認識し、リンパ球(異物を攻撃する役割を持つT細胞等)にその特徴を覚え込ませるといった役割を担う。これにより、そのリンパ球が異物のみを狙って攻撃することができるようになる。こうした「樹状細胞」とリンパ球の体内での役割、特徴をがん治療に活かしたものが、「樹状細胞ワクチン療法」と呼ばれるものである。同療法は同社が先駆して開発してきたが、現在は同療法を独自で開発、実施する競合企業や医療機関が増えてきている。

 「樹状細胞ワクチン療法」の最大のメリットは、がん細胞のみを狙って攻撃し、正常細胞を傷つけないため、副作用が少ないという点にある。また、がん種に関しても同社では免疫効果の高い「WT1ペプチド」(独占実施権保有)をがん抗原として使用することでほぼすべてのがんを対象とすることが可能となっている。

 一方、デメリットとしては、保険適用外であるため治療費が全額自己負担となることである。このため、現状では「手術」や「抗がん剤」など一般的な治療法では効き目がなくなった重度のがん患者、あるいは膵臓がんのように外科的手術が難しいがん種患者の症例数が多くなっている。2014年12月末までの約8,900症例をがん種別でみると、膵臓がんが約2割と最も多く、次いで大腸がん、胃がんが各1割強となっている。

がん抗原の独占実施権、世界トップクラスの臨床実績を有する

(3)同社の強み

 樹状細胞ワクチン療法を手掛ける競合が増えるなかで、同社の強みは大きく3つ挙げることができる。1つ目は、より強力ながん免疫を誘導することができる「WT1ペプチド」や、他のがん抗原「MAGE-A4ペプチド」「サーバイビンペプチド」に関しての独占実施権を保有していること、2つ目は、東京大学医科学研究所発の高品質で安定的な「細胞培養技術」を保有していること、そして3つ目は世界トップクラスの「臨床実績」を誇り、専門誌などでも共同研究先などから数多くの論文が掲載発表されていること、などである。

 高齢化社会が進む国内ではがんによる死亡者数が年々増加しており、2013年には総死亡者数の3割弱を占める約36万人ががんで亡くなり、今後もさらに増加していくものと予想されている。こうしたなかで、同社は「バクセル®」を将来的には保険適用によって患者負担の小さい再生医療等製品として普及拡大させていくことを目指している。

決算動向

薬事承認取得に向けた研究開発費、事業立ち上げ費用で損失計上

(1)2014年12月期連結業績概要

 2月6日付けで発表された2014年12月期の連結業績は、売上高が2013年12月期比21.2%増の1,865百万円、営業損失が293百万円(2013年12月期は23百万円の利益)、経常損失が330百万円(同24百万円の損失)、当期純損失が402百万円(同58百万円の損失)となった。

 売上高は医療支援事業において、細胞培養機器販売等の大型案件が寄与したことで、2ケタ増収となった。一方、利益は「バクセル®」の薬事承認取得に向けた開発活動を推進するなかで、研究開発費や広告宣伝費などが増加したこと、連結子会社における事業立ち上げ費用が発生したことなどが減益要因となった。研究開発費は2013年12月期比48百万円増の279百万円、広告宣伝費は同87百万円増の209百万円となった。事業セグメント別の動向は以下のとおり。

○細胞医療事業

 細胞医療事業では、「バクセル®」の症例数が1,296件とほぼ2013年12月期並みで推移したことで、売上高は2013年12月期比0.8%増の1,106百万円に、また「バクセル®」の認知活動を主とした広告宣伝費やその他販管費の増加により、営業損失は171百万円(2013年12月期は46百万円の損失)に拡大した。2014年12月期に新規契約した医療機関は連携契約で5件、提携契約で1件となり、期末時点では2013年12月期末比4件増の37拠点となった。

 売上高は2012年12月期をピークに伸び悩む格好となっているが、これは類似の治療法を行う企業や医療機関などが増加していることが背景にある。ただ、四半期ベースの動きで見ると、2014年度の第3四半期以降、前年同期比で症例数が増加に転じている。「バクセル®」の認知活動や、専門学術誌などでの論文発表が相次ぐなかで、医師の間でも「バクセル®」に対する信頼性や評価が着実に高まってきたことが要因と考えられる。

○医療支援事業

 医療支援事業の売上高は2013年12月期比79.0%増の847百万円、営業損失は34百万円(2013年12月期は75百万円の利益)となった。売上高は、細胞培養関連装置の販売で大型案件の受注を獲得したこと、また、2013年より参入したイメージングCRO事業の売上高が加わったこともあり大幅増収となったが、イメージングCRO事業やゲノム診断支援事業、並びに少額短期保険事業等など新規事業の立ち上げ費用が発生したことにより、利益は悪化する格好となった。

○医薬品事業

 医薬品事業は、「バクセル®」のがん治療用再生医療品等製品としての薬事承認取得に向けた開発体制の整備や開発費用の計上などにより、営業損失として85百万円を計上した。

細胞医療事業の症例数増加、新規事業の売上貢献で増収を見込む

(2)2015年12月期見通し

 2015年12月期の連結業績は、売上高が2014年12月期比19.1%増の2,221百万円、営業損失が365百万円、経常損失が353百万円、当期純損失が381百万円となる見通し。売上高は細胞医療事業における症例数の増加や、新規事業の売上げ貢献により2ケタ増収を見込んでいる。一方、利益面では引き続き「バクセル®」に関する研究開発費の増加や、新規事業の立ち上げ負担増により、2014年12月期並みの損失が続くことになる。事業セグメント別の見通しは以下のとおり。

○細胞医療事業

 細胞医療事業に関しては、契約医療機関の拡大(1~2ヶ所)に伴う症例数の増加で、売上増を見込むほか、コスト面では研究開発費が減少すること(医薬品事業へシフト)もあり、増収増益となる見通し。営業利益段階では収支均衡ラインを目指す考えだ。

○医療支援事業

 医療支援事業では、細胞培養関連装置が引き続き堅調に推移することに加えて、少額短期保険事業、ゲノム診断支援事業など新規事業の売上げ貢献が始まることで、2014年12月期比2ケタ増収ペースが続く見通し。

 とりわけ、少額短期保険では、2月より世界初となる「がん免疫細胞療法保険(免疫保険)」の販売を開始する。通常のがん保険に加えて、がん免疫細胞療法を受けた場合、その治療費の一部を保障する保険商品となる。同保険の販売によって、今まで全額自己負担となっていた「バクセル®」などの最先端医療が受けやすくなり、症例数の増加が期待できる。同社では同保険の認知度向上のため広告宣伝費を積極的に投下する予定で、同事業セグメントは今期も2ケタ増収となるが、営業損失は120百万円程度と2014年12月期から拡大する見通しとなっている。

○医薬品事業

 医薬品事業は引き続き「バクセル®」の薬事承認取得に向けた開発費用や治験準備に関連する費用が計上されるため、2015年12月期の営業損失は2014年12月期よりさらに拡大し230百万円程度となる見通し。売上高としては、現在、複数社と交渉を進めているライセンス契約が締結すれば、契約一時金等の計上が見込まれるが、会社計画には織り込んでいない。

 「バクセル®」の薬事承認取得に向けた取り組み状況についてみると、膵臓がんを適用領域とした治験届を提出し、年内中の治験開始を目指している。治験開始に伴って、2016年12月期以降は治験費用が本格的に発生することになるが、これに関してはライセンス契約交渉の締結の有無や契約時期、内容などによって負担額も変動することになる。

成長戦略

2020年12月期は売上高150億円が目標

 同社は2020年12月期に売上高15,000百万円を目標として掲げている。成長戦略としては、以下の4点に取り組んでいく方針だ。

・樹状細胞ワクチン「バクセル®」の承認取得による売上拡大
・既存事業の拡大
・先端医療周辺事業への展開
・海外への展開

膵臓がんで薬事承認がとれれば、その他のがん種へ適用領域を拡大

(1)「バクセル®」の承認取得

 売上高目標15,000百万円のうち、「バクセル®」関連の売上高は約半分程度を想定している。前述したように、まずは膵臓がんを対象とした承認取得を目指している。膵臓がんは早期発見が難しく治療が困難で死亡率も高いため、「バクセル®」のニーズが最も高いとみられるためだ。「バクセル®」では新しい大量増幅培養技術(特許出願中)と延命効果の高いマルチペプチド(WT1クラスⅠ改変ペプチド+ヘルパーペプチド)を使用する。

 国立がん研究センターの予測では、国内において膵臓がんで亡くなる患者数は直近の年間2.9万人から、2020年には3.5万人を超えると予測されている。このうち、約1割程度の症例に「バクセル®」が利用されることを想定している。また、膵臓がんでの薬事承認がとれれば、その他のがん種へ適用領域を段階的に拡大していくことも視野に入れている。

「バクセル」の認知拡大に向けたブランディング戦略の推進

(2)既存事業の拡大

 既存事業に関しては、引き続き「バクセル®」の認知拡大に向けたブランディング戦略の推進や契約医療機関の開拓に加えて、新規がん抗原やNK細胞免疫療法の実用化などの研究開発を継続していく。細胞医療事業においては、保険事業やゲノム診断支援事業など周辺事業との相乗効果もあって、症例件数で年率10%以上の成長を目指していく方針だ。

がん治療から、健常人向けのがん予防・再発予防まで拡大する

(3)先端医療周辺事業への展開

 同社では細胞医療事業を事業基盤としながら、更なる成長拡大を目指すため周辺事業領域をM&Aなどによって拡大している。とりわけ、ゲノム診断支援事業や保険事業の開始によって、対象顧客層が従来のがん罹患者向けのがん治療から、健常人向けのがん予防や再発予防まで拡大することになり、成長ポテンシャルも一気に拡大したことになる。いずれの子会社も事業立ち上げ期となるため赤字が続くものの、中期的には収益貢献してくるものと思われる。

アジアでのがん患者数は日本の約6倍の規模

(4)海外展開

 海外展開では東南アジアや中国で現地企業または医療機関と事業提携契約を結び、まずは海外患者の受け入れ拡大に注力していく。その次の段階として、現地での「バクセル®」の技術導入支援事業を展開していく予定となっている。

 日本を除くアジアでのがん患者数は2012年で約380万人と日本の約6倍の規模となっており、「バクセル®」のコスト低減が進めば、将来的にアジア市場での売上拡大も期待できることになる。

財務状況

安全性を示す経営指標は改善傾向

 2014年12月末の財務状況を見ると、総資産は2013年12月期末比1,009百万円増加の3,396百万円となった。主な増加要因は、新株予約権の行使に伴う現預金の増加(+669百万円)と組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオ等の株式取得等による投資有価証券の増加(+242百万円)、のれんの増加(+47百万円)などとなっている。

 負債は2013年12月期末比38百万円増加の896百万円と、ほぼ2013年12月期並みの水準となっている。また、純資産は同970百万円増加の2,499百万円となった。新株予約権の行使に伴い、資本金及び資本剰余金が1,358百万円増加する一方で、当期損失の計上により利益剰余金が402百万円減少した。

 経営指標で見ると、安全性を示す流動比率や自己資本比率、D/Eレシオなどはいずれも2013年12月期末比で改善しており、現段階では財務の健全性は保たれていると言える。ただ、2015年12月期も赤字が見込まれていること、2016年以降は「バクセル®」の治験開始に伴う関連費用の増加が見込まれることなどから、一時的に財務状況が悪化するリスクがある点には留意する必要があろう。ただ、これらはライセンス交渉の契約締結時期や内容次第となる。

 なお、同社が2013年に発行した第3者割当(野村証券)による新株予約権に関しては未行使分を2014年4月にすべて消却している。一方で、取締役や従業員に対する有償のストック・オプションを2015年1月に新たに発行した。すべてが行使されたとすると株式希薄化率は9.1%となる。同社の発行した有償ストック・オプションは株価、そして業績目標の達成が行使条件となっており、業績拡大に向けた社内における士気の向上と結束力を高めることを目的としたものとなっている。

同業他社比較

「バクセル」の薬事承認取得で創薬ベンチャーとしての評価余地

 同社とほぼ同規模の売上高と経営状況にあるバイオベンチャー3社と、株価指標の比較を行った。いずれも、今期予想利益は赤字の企業ではあるが、時価総額においてオンコセラピー<4564>とJ-TEC<7774>が500億円超の評価がなされているのに対して、同社及びメディネット<2370>は200億円強の水準と評価額に開きがある。バイオベンチャーの株価指標としてPERは使えないため、PSR(時価総額÷売上高)で比較してみると、その差はさらに明確となっている。

 これはテラとメディネットが、がん免疫細胞療法を主軸とする事業展開で似通っており、細胞受託加工サービス企業としての評価にとどまっていることが一因と考えられる。一方、オンコセラピーはがん治療ワクチンの創薬ベンチャーとして、またJ-TECは再生医療の先進的企業で、富士フィルム<4901>が子会社化したことも、評価が高い要因になっているとみられる。

 こうしたなかで、テラに関しては今後、「バクセル®」の薬事承認取得により医薬品事業の収益が拡大してくれば、創薬ベンチャーとして評価余地が出てくるものと思われる。現在、同社の「バクセル®」は170〜230万円程度の治療費となっており、また、膵臓がんの患者を対象に「バクセル®」と化学療法を併用した場合、約半年の延命効果があったとの論文発表もなされていることなどから、薬事承認取得後も需要は一層、拡大していくものと予想される。

2014年4月にがんの専門誌「Cancer Immunology, Immunotherapy」に信州大学医学部付属病院、長崎大学病院、セレンクリニックグループ共同研究による論文が発表された。症例数は255件。


転載元:JB PRESS