最近のIT関連株は、何かと話題がつきない…。
 

ニュースキュレーションアプリの筆頭とも言えるGunosy(グノシー)の東証マザーズへの上場が確定しました。

上場予定日は4月28日で、市場コードは、「6047」、主幹事証券は野村證券です。

野村證券が最近主幹事を務めたITベンチャーと言えば、上場ゴールのIPO「gumiショック」で注目と批判を集めているソーシャルゲーム会社のgumiです。

gumi

gumiは上場後わずか2カ月半で業績予想を下方修正し、
15年4月期は黒字予想から一転4億円の営業赤字に転落することになりました。

その結果gumi株には売り注文が殺到。3月6日、9日に2日連続してストップ安を記録しました。

株式投資は自己責任ではありますが、gumiが上場ゴールと呼ばれ各方面から批判を浴びている
理由は株価下落だけではありません。 

・業績修正の翌日には、運転資金のための30億円の銀行借り入れをしていたことを発表

・gumiのCFOが上場後80%の株式を売却(その他役員も大量の株式を売却)

・上場後、gumiの韓国子会社の従業員が数千万円の横領をしていたことを発表

・上場後、100人規模の希望退職を実施

経営陣の株の売り方、資金の運用、各発表のタイミングなど最初から上場ゴールで経営陣と証券会社、
ベンチャーキャピタルだけが得をする上場です。

今回の上場承認に伴い、GunosyはEDINETにて正式に有価証券届出書を提出しました。

 

「業績」

gunosy 3

 

第一期の売上高は41万7000円、経常損失は約4500万円で赤字です。

続く第2期は約3億5900万円の売上高、
しかしテレビCMなど莫大な広告宣伝費を使ったため経常損失13億6500万円と膨れています。

第3期は約12億7700万円の売上高、約3億円の赤字となっています。

 

gunosy 4

 

 

赤字で上場するのかとおもいきや、直近の2015年第3Q単独では約2億円の黒字になっています。

これだけ見ると、先行投資がある程度落ち着き黒字が出てきて業績が順調に見えますがあくまで会計上の数字に過ぎません。

クォーター単位なら、今まで赤字の原因になっていた広告宣伝費を一時的に抑えれば黒字にすることは可能です。

上場を控えて会計上の数字を整えてきたように見えてしまいます。

 

株式公開で一番得をするのは誰でしょうか?通常は会社を作った創業メンバーです。

Gunosyの創業メンバーは3名でいずれも東京大学大学院の学生、
CEOを務めるのはそのうちの一人である福島良典氏です。

 しかし福島良典氏の持ち株比率はたったの「3.53%」しかありません。
他にも12億円の巨額出資を行ったKDDIが16%、ベンチャーキャピタル(VC)の
ジャフコが10%など保有していますがいくらなんでも創業者の比率が少なすぎます。

 

では誰が筆頭株主なのか? それが去年の8月まで共同代表を務めていた木村新司氏です。

持ち株比率は「41.12%」と、なんと半分近くを占めます。創業者の10倍以上です。 

木村新司氏は2013年に共同代表に就任し、主に資金調達を担当していました。

その結果KDDIから12億円など、総額24億円を調達しました。そして1年足らずで代表を退任致しました。

gunosy2

 

Gunosyの初期は、東京大学大学院生が作った独自のアルゴリズムによるニュース配信が高い評価を
得ていわゆるアーリーアダプターと呼ばれるネット上の新しいもの好きな人たちに拡がりました。

ネット上での集客が一定まで達したことで、次にKDDIから得た12億円の資金などを元に大量のテレビ
広告を配信しました。 

CM自体はウルトラマンがただ出てくるだけだったり、全くアプリの内容が伝わらないものでしたが
ネットから情報収集をあまり行わない層に対して、「印象に残ること」「みんなが使っていることを
意識させること」
を意図したものであり、戦略としては正しいと思います。

 

しかし何百万ダウンロード突破!といくら騒いでも、無料アプリである限りダウンロード自体で
利益は生みません。

2015年1月時点で、800万ダウンロードを記録していますがこれらのユーザー(+新規ユーザー)
から今までの投資を回収し、今後利益を上げていく事業計画が必要です。

その事業戦略がCPA(獲得単価) < LTV(ライフタイムバリュー)になるか、もしくは高い
広告料金で無料ダウンロードを買っただけの逆ザヤ状態になるかの分かれ目になります。

 

GunosyがLTVを生み出すための戦略として昨年発表したのが「Gunosy Platform」と
呼ばれるプラットフォーム化です。

これまでGunosyのチャンネルはニュース記事などRSSを吐き出しているところだけに限定されていた。今回のGunosyのプラットフォーム化により、Gunosy上でアクションが可能になる。

ユーザはチャンネルからサービスを選択し、その中で様々なアクションが可能になる。たとえば、DeNAトラベルのチャンネルではGunosy上で旅行の閲覧、検索、予約が可能になったり、RECLOのチャンネルではGunosy上ですぐ商品の購入に移ることができるようになる。将来的には、記事閲覧との融合を目指しているという。

 

ニュース配信だけではコンテンツに拡がりが出ないため、利益を生むには事業の拡大が必須です。

特にGunosyは、経済情報に特化したNewspicksや女性向け雑誌スタイルのAntennaなどに比べて個性が弱く、
良くも悪くも普通です。

そのため普遍的なプラットフォームとして移行していくのは自然な流れですが、ポータルになると
競合他社の存在の大きさや、管理面の負荷を考えると茨の道でもあります。

 元々Gunosyは精度の高いアルゴリズムが評判になったサービスなので、投資家や証券会社に振り回されるのではなく技術面を強化して着実に生長していって欲しいです。

 

gunosy-6

 

毎日3〜4回はGunosyのアプリの立ち上げるので、ちょっとした違和感が気になったりします。

最近こういう上の画像みたいなダブリニュース配信が増えてきたので、
こういったところから改善していって欲しいです。

参照;ふくえもん 

 

Gunosy木村新司氏の
個人投資家としてのリターンは約50倍か

当該ファンドもその投資先も同業者も。みんながシェアしにくいらしいけど、こっそり人気コンテンツと化しているファンド・リターンズ。3回目にして番外編になりますが、Gunosy代表取締役木村新司氏の個人投資家としてのリターンに迫ります。

そもそも木村氏の投資資金の元手はどこかというと、木村氏はスマホアドネットワーク事業を運営していたアトランティス社を2011年1月にGREEに約20.8億で売却。その際のキャピタルゲインと思われます。売却前に2.8億の資金調達を実施していることもあり、木村氏の持分は最低でも50%前後と推測、キャピタルゲインは10億前後と思われる。木村氏の2014年6月時点での投資先は9社。まずは全体のリターンを。(ファンドではないが、累計投資金額に対するリターンを予測)

スクリーンショット 2014-06-20 18.41.29累計投資金額は4.18億。持株比率が大きく、IPO観測もあるGunosyを含むか否かでかなりリターンが変動するのでGunosy抜きの場合も算出。それでも、最低7倍のリターンにはなりそうです。まだ投資余力はあるでしょうから(GunosyがIPOしたらキャピタルゲインもあるでしょうし…)あと1-2年で+5億前後は投資してもおかしくない。となると規模的に10億くらいのファンドと変わりませんね。

個別案件を以下に見ていきますが、木村氏の投資傾向は一般的な個人投資家にありがちな「数百万円をバラまく」のではなく、張るところには大きく張るスタイル。個人なのにミニマムはシードアクセラレーターの数百万円より多い1,000万レンジが多く、時に1億突っ込んでくるのでシリーズAの投資家の競合にもなりうる。各ファンドが比較的ステージに特化しがちなのに対して、ステージに縛られていないユニークなスタイル。

Gunosyの強力な1発と手堅い回収が見込めるwantedly

スクリーンショット 2014-06-21 15.05.46■1:Labit

おそらくLabitに言及するのはThe Startupでははじめてでしょう。2011年頃には他にもwonder shakeなど学生スタートアップが流行りましたが、段階を踏んで成長しているイメージがあるのはtrippieceくらい。学生が起業に挑戦するのは全然良いと思いますが、1つの事業に集中し切れないスタートアップが多い気がして、いかがなものかと思っていました。Labitもそうですね。アクティブ率が懐疑的な「すごい時間割」をリクルートに事業譲渡していますが、会社は存続しているようです。

この手の案件は「個人投資家シンジケーション」が行われやすく、この案件はまさにその案件。個人投資家6人が300-500万ずつ出していると思われます。失敗しても個人投資家としてはそんなに痛くないでしょう。

■2:ビットセラー

FX Cameraの買収で知られています。2012年はFacebookによるInstagramの買収もあり、写真アプリスタートアップが乱立しました。本誌では写真アプリで上場は無理だろという記事を出している通り、写真アプリ単独でのマネタイズは難しく、国内の写真アプリ事業を核にしたスタートアップは10億前後での売却が関の山であり、現におねえ松本氏が率いるコミュニティファクトリーも約10億での売却となりました。(写真アプリのマネタイズはinstagramが着手し始めているので、今後注目ですね)

ビットセラーは既にとある上場企業売却済のようで、たしかな情報筋によると価格は約6億円とのことです。

■3:wantedly

あまり本誌では触れないようにしてきたwantedly。公式リリースが出ていないながらに、業界では暗黙知的に知れ渡っていますが、サイバーエージェント本体から約2億投資を受けています。wantedlyの予測はかなり難しかったのですが、仲さんがかわいくてカッコいいし、B2Bなので手堅く月額売上とか上がるだろうということで、2017年頃にIPOするかなと予測します。

ナショクラがどこまで載ってくるかが、成長スピードの鍵でしょう。スタートアップでは既にインフラと化しており、wantedly対策は必須という印象。そしてスタートアップのソーシングの際にwantedlyをロムっていないVCはセンスがないですね。

wantedlyにはクソなリクナビモデルを破壊してほしいですね。IPOがなくとも、リクルートやリブセンスへの売却シナリオもあり得ると思います。

■4:Gunosy

木村氏にとってGunosyは投資というよりも過半数近く保有しており、上場後も経営の舵取りをすることが予測され、リターンといよりも保有株式価値という見方になります。本誌独自調査によると、アプリ広告で最も費用対効果が良いのはGunosyという広告主もおり、Gunosy Adの立ち上がりは予想以上に順調そうです。

本誌では先日のグロービスファンド4号のリターン予測記事で、スマートニュースはグノシーに株式交換で売却という予測を出していますが、広告を売るノウハウがあるか否かで勝敗が付きそうです。「Gunosyは広告会社である」という話もどこかの記事で見たことがあります。上場時にいくら時価総額が付くのか楽しみ。

レイターステージのgumiに1億、ビットコインにも張る

スクリーンショット 2014-06-21 13.19.41■5:anyperk

なんか米国でブイブイ言わせているらしいanyperk。シリコンバレーに進出した起業家が軒並みダメで涙目で帰ってくる中、Y Combinatorにも採択され、実力派な印象。B2Bで福利厚生を提供するサービス。との理解で良いでしょうか。あまり情報がなく、疎いんですよね。クライアント数も既に2,500(HP参照)で米国の大手インターネット企業も利用。

100億での売却はちょっとコンサバに読みすぎた感もありますが、米国拠点なので読みにくくて。代表の福山太郎氏はIPOを狙うよりもサクッと売却しそうな雰囲気があるため(昔、恵比寿で一緒にウイイレやりましたが、覚えてますかね)売却というシナリオ自体は合っているのかなと。

■6:メドレー

知る人ぞ知る医療版ジョブセンスを運営するメドレー。ここの瀧口社長は僕と同い年ですが、相当の切れ者(で変わり者)な気がします。看護師とかに特化したジョブセンスだけでは、そこまでスケールは取れない。他の医療分野をどう拡張していくか次第でしょうが、安直ではありますが、一旦はリブセンスへの株式交換による売却と想定。しかし、ジョブセンスモデルもSEOが厳しくなってきている説もあるので、メドレーは独自に別のこともやりそうな気もしますが。

■7:コイニー

決済は熱い!とか業界内でもリテラシー高そうな人が口を揃えていっている気がしますが、僕はピンときません。決済は最も避けてきた分野です。サービス導入店舗数に付随する流通金額のスケールによる決済手数料、そのプラットフォームを取れた後にその上で他のマネタイズが云々。という話をされていますが、そもそもプラットフォームを取れるか懐疑的。スクエアの身売り話も出ました。

中小店舗はどんな低い料率でもクレカ決済手数料を取られたくないところの方が多いのではないでしょうか。現金決済のみではなく、クレカも扱えば商機は増えるという反論ロジックはありますが、色んな飲食店行った際に決済を注視しても、コイニーを見たのはfactoryくらいな気が。最悪セゾンが買ってくれると踏んでいるんでしょうが、既に50-80億のハイ・バリュエーションが想定され、そこからもうちょい頑張って200億くらいで売れれば御の字。と予測しました。

■8:gumi

gumiは業界関係者では説明不要ですね。木村氏は昨年末のラウンドで1億円投資。gumiは何回ファイナンスしているんだか全て把握するのが大変ですね。国光さんの持分ってかなり低いんじゃないでしょうかw gumiの資本政策は僕より調べるおさんあたりにインフォグラフィックで出していただいた方が良いかと思います。国光さん、持分比率に関するコメント、お待ちしておりますw

参考:2011.12の20億ファイナンス記事

■9:bitflyer

今回唯一リターン予測を確定させられなかった案件。まだ国内では数少ないビットコイン銘柄に既に張っておられるあたりに木村氏のセンスの良さが伺えます。ビットコインは法的リスクとも隣り合わせな印象があり、成功確度が高い分野であると僕には思えませんが、当たれば貨幣プラットフォーム(bitflyerは日本初のビットコイン取引所)であるがゆえにかなり大きなリターンになる可能性も秘めています。

僕も近々ビットコイン買ってみよう。むしろまだビットコイン買ったことないとか、情報の扱い手としては遅すぎる気がします。やばいやばい。

投資額に10倍近くの差も、IVPより多いリターン額?

木村氏の投資先9社を見ると、メディア系が多いようです。まだ国内では数少ないビットコイン銘柄にも張っており、市場のトレンドを早めに摘んでいこうという気概が感じられます。次に張るとしたら動画関連とかありそうな気が。

リターンは冒頭で述べましたが、シリーズの1本目で書いたIVPと比較すると面白いですよ。

スクリーンショット 2014-06-21 13.10.52木村氏の最悪のシナリオ(Gunosy抜き)としても、投資金額は8-10倍の差があるのに、最終的な回収額はIVPとあまり変わらないのでは。しかも木村氏は投資業が本業ではない。木村氏のファンドがあれば、確実に張りたいですよね。Gunosyの今後にも注目しつつ、木村新司氏の個人投資家としての活動も要注目です。

参照;the strat up